アイディアの素
ヒット商品応援団日記No320(毎週2回更新) 2008.11.26.
ここ数ヶ月注目・話題となっているビジネスアイディアの多くは、新素材や新技術以外では「もったいない」着眼によるものだ。もったいないということは、私に言わせるといわば日本的生産性の概念であり、米国におけるプロ経営者による生産性の概念とは異なる。例えば、バブル崩壊以降日本においても積極的に取り入れられてきたビジネス手法の一つにアウトソーシングがある。簡単に言ってしまえば、外部の専門企業に委託することの方が品質を維持できてコストパフォーマンスが良いという生産性を高める考え方である。この延長線上には、人材面では派遣やアルバイトといったことにまでつながる。2004年の米国大統領選挙において、国内の労働市場を吸収しないとして争点となったテーマである。
今、日本のビジネス現場で行われているのが、「もったいない」着眼による結果としての生産性向上及び新しい市場の創造である。前回、「高校生レストラン」について書いたが、視点を変えれば生徒達が実習で作った料理を生かしきれないだろうか、という「もったいない」着眼と言えなくはない。かなり前から「わけあり競争」に入ったと、規格外商品や賞味期限前・消費期限前商品の活用に新たな市場が生まれていると書いたが、全てもったいない精神から生まれたビジネスアイディアである。カラオケのアイドルタイム、昼間の空き時間を活用した会議室利用の促進。あるいは異なるメーカー同士による共同配送、キリンビールと味の素クックドゥによる共同販促といったコラボレーションも、単独では行えないことへの一種のもったいない着眼と言えよう。勿論、もったいないからと言って、不正競争防止法やJAS法など顧客・消費者との約束事を守ることは言うまでもない。
こうした日本的生産性の向上、もったいない着眼は、持っている資源をいかに最大化させるかということにつきる。保有資源である商品、人材、時間、場所・設備、テーマ、資金、それぞれが生かし切れているかという見直しによって新たな価値市場が生まれている。
商品の場合はReコンセプトであるリサイクル・リデザインなどは当然であるが、前述のような視座、わけあり商品としての販売である。システムとして行っているのがフードバンクなどであろう。最近注目されている北海道の地ソースでは、ホタテのゆで汁を活用したソースによる焼きそばが人気だ。勿論、アウトレットしかり、人気の質流れ市場やオークションも同様である。
先日日経MJに報道されていたが、経営立て直しにあるファミレスのすかいら〜くが店舗丸ごと広告媒体化することにより、年3.5億の収入を見込むという。どんなスポンサーが広告効果を見込んで出稿するかわからないが、スペースを使い切るためのアイディアの一つであろう。
場所・スペースのシェアー・分担によるコスト削減という考え方はビジネスばかりか一般の生活住居にまで浸透し始めている。更には、時間単位でのシェアー、月ー金と土日祝、あるいは昼間と夜、こうした分担し経営していくことが更に一般化していくと思う。時間という着眼では季節によるビジネス2毛作や3毛作を考える時代である。
以前、廃業や破綻した店舗を居抜きで借受る専門ビジネスが盛んになったと書いたことがある。東京郊外にある飲食施設やSCには空きスペースが目立つようになり、地方商店街のようにシャッター通り化しつつある。こうした既にある施設や設備の再創造も生かし切る発想と言えよう。ある意味、コンテンツ次第、アイディア次第で再生できることが沢山あるということだ。
こうした「生かし切るアイディア」は全て現場経営という考え方から生まれる。米国型のプロ経営者による数字や指標からは生まれることはない。今こそ、もったいない精神が発揮されヒット商品が生まれる時だ。(続く)
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